研究テーマや研究アプローチ、学内外での研究活動、その後の進路など
学部3年生後期から研究室に仮配属されます。3年後期の「演習II」では、学術⽤語の英語表現に習熟するとともに、⼤気科学全般の基礎的理解を進めることを⽬的として、英⽂教科書を輪読します。3年後期に開講される「地球惑星科学実験IV⼤気科学演習」において流体圏共通の演習を⾏います。3年後期「気象学 A・B」の講義は、気象学の全ての分野の基礎になります。
学部4年生からは正式に配属されます。英⽂教科書の輪読に加えて、データ解析法や Linux マシンの使い⽅など、研究を進めるために必要な基礎⼒を養うともに、具体的な研究テーマに取り組んでいきます。指導教員を決めますが、ゼミなどを通じた学⽣に対する研究指導では教員2名が協力します。「研究室コロキウム」では自らの研究の発表や議論とともに研究室の大学院生の発表や議論を通じて、科学的思考やプレゼンテーション能力を育成します。英文教科書の輪読も引き続きおこないます。
修士課程1年次には、まず修士論文を見据えて具体的な研究テーマの準備に取り組みます。自ら興味ある気象現象に関する文献を読み込み、既知の事項を学びながら研究課題を模索します。指導教員のみでなく、教員2名が協力して研究指導をおこないます。
指導教員との日々の議論のほか、研究室ゼミでの発表や議論を通じて、ある程度研究成果がまとまってくれば,気象学会や研究集会等に積極的に研究発表する機会もあります。海外の国際学会や国際シンポジウムで発表する機会もあるかもしれません。逆に、必ずしも完成した研究成果発表に固執せず、大学院生中心に九州地区大学間の学生交流として実施している「気候システム研究集会」もあり、研究のモチベーション向上にも繋がっています。そのほか、各自の研究とは別に、気象・海洋観測プロジェクトに参加してフィールドワークの貴重な経験を積む機会もあります(参加は義務ではありません)。
修士課程を修了すると、社会へ羽ばたいていく学生と、主に専門分野の研究者を目指して博士課程に進学する学生に分かれます。修士課程修了後の就職先としては、気象庁や気象・環境関連企業、電力・交通等のインフラ関連の企業、情報処理関連の企業などへの就職が多いです。また博士課程修了後の就職先としては、大学・法人等の教育研究機関などが多いですが、最近では民間企業への就職もあります。
九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻(気象学・気候力学分野)に他大学から入学する学生の多くは、地球惑星科学科や物理学科の出身です。気象学を特に学んでいない学生に対しては、大気科学全般の基礎的理解を進めることを目的とした研究室の学部4年生対象におこなっている教科書の輪読や、データ解析法やLinuxマシンの使い方など、研究を進めるために必要な基礎力の養成をおこなっています。(必要に応じて)一緒に受講することで気象学その他の知識を補うことができますので、理工学系や教育系(理科)出身の学生でも大きな問題ありません。
【参考】気象学・気候力学研究室に所属した他大学出身学生の大学・学部名(順不同)
富山大/理/地球、奈良女子大/理/数物、岡山大/理/地球、山口大/理/地球、高知大/理工/地球、福岡教育大/教育/初等教育、佐賀大/理工/物理、長崎大/環境科学、熊本大/理/理、鹿児島大/理/物理、琉球大/理/物質地球、立命館大/工/機械、京都産業大/理/宇宙物理気象、福岡大/理/地球ほか
「気候システム研究集会」では、主として九州地区の大学において大気や海洋を研究している学生が互いに研究発表し、活発な意見交換をおこないます。草の根交流から視野を多角的に広げ、研究のモチベーションを上げ、時には海洋・気象観測を一緒におこなう機会につながることもあります。2013年度の島原から始まり、5回目となる2017年度研究集会は福岡で開催され、福岡大、鹿児島大、熊本大、長崎大、九州大の5大学が参加しました。
(2019年度以降のみ掲載)
■ 博士論文
2023年度
土田 耕:Modulation of internally generated radiative feedbacks and its application for global warming evaluation
2022年度
木下 直樹:Effects of secondary ice production by ice-ice collisions on the microphysical and electrical structures of snow clouds in Hokuriku, Japan
2021年度
築地原 匠:Interdecadal explosive cyclone activity associated with winter storm events in Hokkaido, the northernmost island of Japan
2020年度
藤原 圭太:Remote thermodynamic impact of the Kuroshio on tropical cyclone development over the western North Pacific in boreal fall
■ 修士論文
2025年度
石橋 尚澄:夏季日本付近における晴天乱気流発生頻度の年々変動と要因分析
小畑 佑介:福岡平野周辺における夏季局地降雨の発生環境場
室井 清雅:2023年7月秋田豪雨の発生機構の解析
渡守 爽太郎:梅雨期に長崎半島で出現する降水バンドの発生環境場と発生過程
2024年度
大串 湧二:同位体領域気象モデルを用いた2019年8月佐賀豪雨の水蒸気起源の推定
小田 凱翔:中部日本・西日本に大雨をもたらす梅雨期メソ対流系の組織化形態
近藤 亜美:急発達する爆弾低気圧の渦構造に及ぼす本州山岳の力学的影響
丸野 航輔:台風に伴う水蒸気コンベアベルトが熱帯環境場に与える影響
2023年度
井上 弘陽:南岸低気圧による大雪発生時の東京における下層低温化プロセス
井上 壘輝凱:夏のインド洋の昇温がアジア周辺の循環場に与える影響
宇佐美 諒:東シナ海に停滞した2021年台風14号の強度に及ぼすSSTの影響
菅谷 康平:同位体循環モデルを用いたJPCZがもたらす降雪の水蒸気起源の推定
霍見 浩志:超高解像度結合モデルにおける熱帯域の季節内大気海洋相互作用
中村 健人:アンサンブル実験を用いた異なる雲物理スキームによる線状降水帯の再現性の評価
西村 はるか:水蒸気起源から読み解く線状降水帯の発生環境場の形成プロセス
呉 継煒:Tropical cyclone induced remote precipitation over Yangtze River basin during the last stage of Meiyu period
2022年度
宇佐川 達史:冬型気圧配置時に福岡南部で発生する低高度乱気流
下園 高弘:機械学習を用いた九州地方における梅雨期および夏季の降水予測の改善へ向けた試み
竹本 祐太郎:黄海を通過する台風が朝鮮半島周辺海域の海水温と表層流に与えるインパクト
中村 祐貴:フィリピン諸島を横断した台風RAI (2021) の再発達と構造変化
藤井 健:WRF-LESを用いた静岡空港周辺の乱気流シミュレーション
山口 修平:高解像度の大規模アンサンブルデータセットを用いた熱帯低気圧を要因とする降水分布の将来変化の解析
吉田 尚起:梅雨に及ぼす台風の遠隔影響:台風ボーガス実験による評価
和田野 雄大:Super El Ninoが北大西洋とヨーロッパの気候に与える影響
2021年度
川上 真:北太平洋とユーラシア付近の大気海洋の振動が日本の冬季の気温変動に与える影響
鈴木 雄斗:2021年1月の大雪事例で見られた長白山系のカスケード効果
樋田 裕輝:2020年3月28日に奄美大島で発生した突風事例の解析
原 啓喜:水蒸気場変化に対する台風雷活動の応答
安清 莉奈:JPCZおよびそれに関連した豪雪イベントの将来変化
劉 健華:Numerical simulation of an extreme rainfall event in Yangtze River Valley in 2016
2020年度
岩下 将也:下層水蒸気量変化に対する梅雨前線帯低気圧の応答
下村 健太:梅雨期における北西太平洋モンスーントラフの変動プロセスに関する研究
土田 耕:MIROC6 piControl 実験における摂動フィードバックパラメータの変動とそのメカニズム解明
蓑添 良輔:2018年7月豪雨期間中の中国地方の大雨形成に対するメソ渦の寄与
2019年度
木下 直樹:Ice-ice collisionsによる二次氷晶生成過程のパラメタリゼーション開発と北陸雪雲におけるその過程の効果
篠田 裕太:JPCZに伴う日本海沿岸の降水持続性に与える長白山系の力学効果
中島 翼:航空機が低高度で遭遇した乱気流の発生メカニズム
松田 地平:2018年猛暑時の中国・四国地方における熱的局地循環に関する研究
森 茜:北海道近傍を通過する爆弾低気圧の構造変化について
山下 純平:九州西部における地形性線状降水帯の発生過程
米持 哲志:北太平洋上空におけるPDO指数と対応した乱気流発生頻度の変化
劉 若莎:Numerical investigation of an extreme heavy rainfall event in Sichuan, China
■ 卒業論文
2025年度
五十嵐 大真:WRFシミュレーションを用いた2024年11月与論島豪雨における降水発生メカニズムの解析
幸地 秀:2024年8月下旬の静岡豪雨の発生環境場
才木 暢之:2019年10月25日に東関東で発生した豪雨の特徴と環境場
橋本 知龍:惑星境界層スキームがJPCZの振る舞いおよび北陸地方の降水量に及ぼす影響
吉永 美緒:地域別エアロゾルの長期削減に対する夏季ユーラシア偏西風ジェットの感度評価
2024年度
岡野 楽:日本の暖候期から寒候期における気温トレンドの空間的特徴
清水 晶加:2024年7月24日・25日に関東地方で発生したダウンバーストの環境場
辻塚 大樹:梅雨期に九州西方海上で発生するメソ対流系の線状降水帯への発達環境場
中岡 昇大:5kmシミュレーションを用いた九州の気温予測とバイアス補正方法
花岡 龍之介:インド洋、南シナ海および北西太平洋における海面水温の変化が気候場に与える影響
2023年度
小畑 佑介:福岡平野周辺における夏季積乱雲の発生環境場の解析
名倉 涼太:富山空港周辺の低高度乱気流の数値シミュレーション
村田 尚矢:関東平野の夕立の頻度と降水強度に地球温暖化が与える影響
室井 清雅:2023年7月に秋田で発生した豪雨の数値シミュレーション
渡守 爽太郎:2023年6月29日〜7月1日に九州地方で発生した地形性線状降水帯の解析
2022年度
小田 凱翔:梅雨期の日本中西部に大雨をもたらすメソ対流系の組織形態分類
近藤 亜美:日本海で発達する爆弾低気圧の北海道近傍における構造変化
立花 幹太:ラニーニャ現象が複数年継続する要因分析
丸野 航輔:北西太平洋における熱帯低気圧と環境場の相互作用
山田 由佳:梅雨期に長江下流域付近を通過し九州に大雨をもたらす低気圧の特徴
2021年度
井上 弘陽:爆弾低気圧中心付近で記録的短時間大雨をもたらした降水システムの解析
井上 壘輝凱:太平洋十年規模振動が顕著な年を対象にした台風の長期変動の解析
宇佐美 諒:2021年台風14号の東シナ海での停滞および再強化について
中村 健人:極端降水現象の再現における雲微物理スキームについての一考察
西村 はるか:同位体領域気象モデルを用いた2021年梅雨期の水蒸気分布の動態
2020年度
宇佐川 達史:冬型気圧配置時に低高度で航空機が遭遇した乱気流の発生メカニズム
中村 祐貴:令和2年熊本豪雨の発生要因の研究:メソ低気圧の発生と発達
藤井 健:2017年10月22日に航空機事故を引き起こした乱気流の発生過程
山口 修平:夏季の九州における集中豪雨頻度の温暖化に伴う変化
吉田 尚起:台風ボーガスを用いた7月気候場シミュレーションによる台風の遠隔影響の研究
2019年度
鈴木 雄斗:朝鮮半島南東部で発生・発達したポーラーロウの解析
原 啓喜:台風において雷が観測されるときの大気環境場
原井 大地:急発達する台風の環境場の季節依存性
安清 莉奈:北海道に暴風雪をもたらす爆弾低気圧の強風の特徴
(川村名誉教授から)
平成29年7月九州北部豪雨の発生環境場の解明[H29年度科研費特別研究促進費報告書から抜粋](PDF)
東日本の少雪をもたらす大気循環とその要因(PDF)